前回の記事『【インサイドセールス実践編#2】ExcelやGoogleスプレッドシートを活用した顧客管理のポイント』では、ExcelやGoogleスプレッドシートを用いた基礎的なインサイドセールスの始め方や、顧客情報を正確に管理するためのポイントを解説しました。本記事では、それらの情報を利用して、いかに改善策を見つけ、ビジネスを成長させるかを解説していきます。具体的には、ExcelやGoogleスプレッドシートのピボットテーブル機能を使った分析法と改善点を見出すことが主なテーマです。
分析にはある程度のデータ量が必要なので、下記のサンプルデータをダウンロードして、一緒に進めていきましょう。
ピボットテーブル分析の準備をしよう
1. データ不備の修正
ピボットテーブルを作成する前に、まずは元になるデータの不備を修正しておくことをお勧めします。例えば、下記のような項目はピボットテーブルを使用する際にうまくグルーピングができなくなるため、ピボットテーブル作成前に整えておきましょう。
- 重複データの確認:同じ会社や担当者が重複していないか
- 表記ゆれの修正:「部長」「部長様」など表記がばらついていないか
- 日付の形式の統一:日付や時刻データの形式が統一されているか
上記以外にも、データの不備があれば修正をしておきましょう。
2. テーブル形式への変換
また、データをテーブル形式にしておくと便利です。データを追加した際に書式が自動的に統一されたり、テーブル上で集計をしやすくなったりするメリットがあります。
- データ範囲を選択
- [挿入] → [テーブル] をクリック
- 「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」にチェックを入れる
3. ピボットテーブルの作成
あとは、ピボットテーブルの作成をすれば準備完了です。下記の要領でピボットテーブルを作成しましょう。
・Excel:[挿入] → [ピボットテーブル]を選び、テーブル範囲を指定
・Googleスプレッドシート:「データ」タブから「ピボットテーブルを作成」を選択
ピボットテーブルで改善点を見つけよう
ここではサンプルデータ300件をもとに、実際にどのようにピボットテーブルを設定し、何を読み取れるのかを解説します。今回は代表的な3種類の分析例を取り上げます。
1.エンゲージメント(接触状況)から改善点を見つける
ピボットテーブルのフィールドを下記のようにセットします。
行:「接触状況」(未接触、一次接触済み、商談化済み、失注 など)をセット
値:「接触状況」を「個数」でセットする(顧客数をカウント)

このピボットテーブルで確認できるのは、「全体の中でどの段階の顧客がどれだけ存在しているか」ということです。ここからどのような改善点が見つかりそうでしょうか?

全体300件に対して商談化済みが49件で未接触が101件と開きがあります。まだ未接触に対して、大きなアプローチ余地があると判断できそうです。また、一次接触から商談化へどれほど進んだか(=商談化率)を計算し、ボトルネックを把握することも重要です。
2.業界やアプローチ先から改善点を見つける。
行:「業種」をセット
列:「担当者役職」をセット
値:「接触状況」を「個数」でセット
フィルター:「接触状況」をセット

フィルターは「商談化済み」を選択しましょう。このピボットテーブルでは「この業種×この役職の組み合わせは商談化しやすい」という傾向を可視化できます。

例えば、不動産×部長の組み合わせは最も件数が多いことがわかります。もし未接触にこの組み合わせの顧客がいるならば、優先的にアプローチしたいところです。上記は商談化の件数で見ていますが、商談化率(一時接触済みから商談化した率)も見ると、さらに精緻な分析になります。
3.担当者別の分析から改善点を見つける。
行:「担当者」をセット
列:「接触状況」をセット
値:「接触状況」を「個数」でセット

このピボットテーブルでは「誰がどの段階で強みを発揮しているのか、あるいは逆に停滞しているのか」がわかります。

商談化済みの件数に注目をすると、Sales_Aさんの商談化数が多いですね。一方、未接触に注目するとIS_Bさんは未接触数が少ないことがわかります。それぞれの担当者にどのような工夫をしているかをヒアリングし、全担当者に展開することができれば、全体の未接触を減らしつつ、商談化数を増やせるかもしれません。
まとめ
今回の記事では、サンプルデータを300件をもとに、ピボットテーブルを使った具体的な分析手法と、改善点を発見する例を解説しました。ExcelやGoogleスプレッドシートのピボットテーブル機能は、特別なツールがなくても顧客データを多角的に集計・分析できるため、インサイドセールス担当者にとって大変有用です。最後にポイントをまとめます。
・ピボットテーブル分析をする前にデータをきれいにしておく
・エンゲージメント・業種・役職・担当者などの切り口で改善点を見つける
分析の結果見えてきた改善点の仮説を検証しながら、皆さまのインサイドセールス活動にぜひ取り入れてみてください。
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