商品やサービスの改善を図る際に、実際の顧客の声を聴くことはとても重要です。
今回はユーザーインタビューの進め方についてご紹介します。
こちらの記事は後編です。
*前編はこちら↓
予行練習(パイロットテスト)
入念に事前準備を重ねても、いきなり被験者を呼んでテストをしてはいけません!
まず社内のメンバーを呼んで、パイロットテストを行いましょう。
完璧に準備したつもりでも、以下のような問題が起こりえます。
- 記録用の機材が正常に動作しない
- 記録用や操作用の端末の設置場所がない
- タスクが不十分で終わった後に知りたいことを全て引き出せていない
- タスクの量が多く、時間内に終わることができない
- 台本に集中しすぎてしまい、実際の会話としてはぎこちない進行になってしまう
etc…
実際の被験者(ユーザー)を呼ぶ機会を無駄にしないためにも、社内での予行練習は最低でも3回程度は実施し改善を行いましょう。
また当日のミスをなくすために、チェックシートを運用することも重要です。
下記はチェックシートのサンプルです。必要な項目を追加して、シートはコピーしてご利用ください。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1CIIaQoZeGqp8xCcMrzohhzSG2Bc8SmGm1WKHUj69PMQ/edit#gid=0
信頼関係の築き方
インタビューを行う上で重要なことは、被験者とインタビュアーの信頼関係(ラポール)を構築することです。信頼関係がないと意見を偽ったり、実際の行動を見せてくれないことがあります。会話の切り出し方、こちらの情報の開示、相手の不安を取り除くなど、意識して台本を作成することが重要です。
5つのポイントをご紹介します。
1. 被験者の不安を払拭する
被験者は「期待に応えられるかな」と不安に感じています。まずはインタビュアーが不安を払拭していきましょう。
そのためには目的を明示し、プライバシー保護や機密保護などお約束事を確認します。
またインタビューの流れなどの説明も最初に行いましょう。
2.ユーザーの生活や仕事などプロフィールに関する質問から始める
ユーザーの私生活は製品やサービスの利用と深く関連している場合が多いです。特にビジネス用の製品やサービスでは重要です。
3.あえて知らないフリをする
相手の話したいことを自然に引き出すためには、知らないフリをすることも方法です。相手が説明してくれる内容にヒントが隠されている可能性があります。
4.インタビューの場所
初対面の相手とコミュニケーションを図るうえで場所は重要です。多数の従業員が働いているオフィスの中であれば、緊張してしまう可能性があります。
相手が精神的にリラックスできそうな場所を選びましょう。
5.服装に気を遣う
派手な色使いの服装や、アクセサリーはコミュニケーションの妨げになることがあります。
清潔感のある黒や紺といった落ち着いた配色のコーディネートに気を遣うことで、相手からの信頼を得やすくなります。
また、インタビュアーはできる限り、サービスに携わっていない人か、そのような人を装って行った方が良いでしょう。インタビュアーが深くサービスに関わっていると知られた瞬間に、インタビュアーの反応に合わせた意見や行動をしてしまい、実際の姿を知ることができません。このような相手に合わせて円満にしてしまうようにする行動のことを「ポライトネス効果」と呼び、それを避けなくてはなりません。
フィードバック
ユーザーインタビューで得た被験者の声や行動、目的の達成度などをまとめる必要があります。
そこで、複数の被験者の上記様子を踏まえ、目的を達成するために最大のハードルとなっている場所を見つけ、改善ポイントの優先度をつけましょう。
またISO(国際標準化機構)によると、以下のような軸で定義することが求められています。
有効さ
「有効さ」とは、「実際に使えるのか?」という、最も重要な要素です。例えば「ECサイトで購入」というタスクがある場合、導線が分かりづらかったり、フォームが難しく購入操作が完了できない状況は「有効さ」を×と判断します。その他に「最後まで出来たら○、途中までなら△」と段階をつけて評価しても良いでしょう。
効率
「効率」とは、「時間をかけずに手順良く利用できるか?」という要素です。「ECサイトで購入」の場合、購入自体はできるが、エラーが表示されたり、複数のページに跨がり何度もウインドウを切り替える必要がある場合は「効率」が×と判断します。 その他にも所要時間を尺度にする場合もあります。
満足度
「満足度」は、「体験に満足したか?」という要素です。「有効さ」と「効率」の2つの要素とは異なり、満足度の判断は利用者の「主観」によるため、ある操作やタスクを終えた後、ユーザに評価してもらう必要があります。「満足度」は5段階や11段階(0~10)で判断することが一般的です。
全体の操作の流れから、各画面やスクリーンの役割、機能、その画面において解決する課題をユーザーの発言や操作の様子から整理しましょう。
その上で、意図していた動きと、実際の被験者がとった操作とのギャップを明らかにしていきましょう。
POINT
ユーザーの生の声や行動を観察して、しっかりと次の一手へ落とし込んでいきましょう。
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