「ITスキルの標準」というフレーズを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。「なんとなく耳にしたことはあるけれど、正しい理解はできていないような気がする…」という方もいることでしょう。
本記事は、ITスキル(ITSS)の標準がどういったものであり、なぜ策定されたのかを紹介しています。 ITスキル標準(ITSS)が規定する7段階のレベルの内容やITスキル(ITSS)標準が規定する11の職種も詳しく解説しています。
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ITスキル(ITSS)の標準とは?【2024年最新】
ITスキル標準とは、各種IT関連サービスの提供に必要とされる能力を明確化・体系化した指標のことです。
ITスキル標準は、2002年12月に経済産業省が公表しました。現在は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって管理されています。
能力に応じた7つのレベルにわけられていて、職種も11種類あります。
ITスキル標準はIT人材育成の指標であり「ものさし」のようなものと表現すればわかりやすいでしょうか。ただ、ITのスキルが高くても企業にとって戦力になる人材と決定付けることは難しいです。
なぜならITスキルのレベルは高くても、それを活かす能力がない可能性もあるからです。
企業として優秀な人材だと判断するためには、ITスキルレベルの他にコミュニケーション能力など、トータルで判断する必要があるでしょう。
詳しくは、下記で紹介している独立行政法人情報処理推進機構のサイトをご参考ください。
ITスキル標準(ITSS)が策定された目的と背景
人材不足を解消するため、キャリアパスや習得すべきスキルが標準化・明確化されたのがITスキル標準です。
ITスキル標準が策定されたのは、1990年以降にIT産業が急速に発展していった背景があります。
さまざまな企業でITが普及し、技術が求められるようになりましたが、急激に発展したことが原因で人材不足が問題になりました。
ITスキルが経済産業省から策定されたことにより、企業も実用性の高いスキル指標として共通して使用できるようになりました。
ITスキル標準(ITSS)が規定する7段階のレベル
ITスキル標準が一体どういうもので、なぜ策定されたのか?その目的や背景について理解を深めることができました。
その中で、ITスキル標準は7つのレベルにわけられていると紹介しました。
この見出しでは、レベルによってどの程度のスキルが求められるのか、解説していきます。
ITスキル標準レベル1 | IT企業における実務未経験者や新入社員などのレベル |
ITスキル標準レベル2 | 一定範囲の作業であれば独力で担当することができるレベル |
ITスキル標準レベル3 | 高度IT人材としてのスキルを有していると評価されるレベル |
ITスキル標準レベル4 | よりハイレベルな、高度IT人材に該当するレベル |
ITスキル標準レベル5 | ハイレベルな高度IT人材のなかでも、上位に該当するレベル |
ITスキル標準レベル6 | 高度IT人材のスーパーハイレベルに該当するレベル |
ITスキル標準レベル7 | 高度IT人材において、最も高いスキルレベル |
ITスキル標準;レベル1
ITスキル標準レベル1は、IT企業では実務未経験者や新入社員などのレベルです。
ITスキルの中で、最も低いとされていてエントリーレベルといわれています。
情報処理などITに携わる際、スタートラインに立っている状態と思えばイメージがつきやすいでしょうか。
添付ファイルがついたメールの送受信や、基本的なインターネット操作ができる方はレベル1とされています。
ITスキル標準;レベル2
ITスキルレベル2は、上司などからの指導の下で業務をそつなく行えるスキルが必要です。
ITスキルレベル2は、エントリーレベルから一歩進みミドルレベルと認定されます。
具体的には、スプレッドシートソフトウェアの基本的な操作ができる方やプレゼンテーションソフトウェアを卒なくこなせる方がレベル2に当てはまります。
ITスキル標準;レベル3
ITスキルレベル3は、レベル2と同じミドルレベルです。「与えられた作業を自力でこなせる程度の基礎・応用的な知識」が必要です。
高度IT人材としてのスキルを有していると評価されます。
具体的には、グループウェアを利用してカレンダーやタスクの管理をしたり、ネットワークのセキュリティ対策の理解ができている方はレベル3のスキルがあります。
ITスキル標準;レベル4
ITスキルレベル4は、企業ではハイレベルなプレーヤーもしくはハイエンドプレーヤーとして評価されるレベルです。
ITスキルレベル4になると、ハイレベルな人材として認められます。
基本的なプログラム言語を理解している方や、データ分析ツールを利用できる方はレベル4程度のスキルがあります。
ITスキル標準;レベル5
ITスキルレベル5になると、何かトラブルが起きた際にも自力で課題を解決し、自らビジネスを立案するような高いスキルが求められます。
ITスキルレベル5も、4と同様にハイレベルな人材として企業から求められる市場価値の高い存在です。
ソフトウェア開発に関する包括的な知識とスキルがある方や、クラウドサービスの設計ができる方はかなりITスキルの高い人材です。
ITスキル標準;レベル6
ITスキルレベル6は、国内のハイエンドプレーヤーとして活躍できるほどのスキルを持つ人材として認められます。
スーパーハイレベルに該当する人材として、高く評価されることが増え、業界をリードしていく人材になれます。
具体的には、マルチプラットフォームアプリケーション開発やソフトウェアアーキテクチャの設計と実装などかなりレベルの高いスキルが必要なことがわかります。
ITスキル標準;レベル7
ITスキルレベルの最高ランクであるレベル7は、ITエンジニアとしてさらに飛躍し世界に通用するレベルを持つプレーヤーとして経験や実績を積むことが可能です。
確実なスキルを持った人材として評価をされ、社内のプロフェッショナルとして多くの企業から重宝されるでしょう。
システム全体の設計と開発に関する専門知識や、IT戦略の立案と企業のビジネス目標に合わせた実行力が必要です。
また、ITスキルレベル7の最高プレーヤーには、技術だけでなく最新の技術トレンドと将来の展望に関する専門的洞察力も求められます。
ITスキル(ITSS)標準が規定する11の職種
ITスキル標準レベル7について詳しく紹介したところで、ITスキル標準が規定する11の職種を解説していきます。
ITスキル標準(ITSS)が規定する11の職種は、下記が挙げられます。
- ITスキル標準の職種1;マーケティング
- ITスキル標準の職種2;セールス
- ITスキル標準の職種3;コンサルタント
- ITスキル標準の職種4;ITアーキテクト
- ITスキル標準の職種5;プロジェクトマネジメント
- ITスキル標準の職種6;ITスペシャリスト
- ITスキル標準の職種7;アプリケーションスペシャリスト
- ITスキル標準の職種8;ソフトウェアデベロップメント
- ITスキル標準の職種9;カスタマーサービス
- ITスキル標準の職種10;ITサービスマネジメント
- ITスキル標準の職種11;エデュケーション
ITスキル標準の職種1;マーケティング
職種1つ目は、顧客ニーズに対応するため、市場の動向を予測・分析をするマーケティングです。
データ解析やオンラインマーケティング戦略の設計など、テクノロジーを活用したマーケティング手法が増えていることにより、ITの知識が必要とされています。
市場調査や顧客分析だけでなく、SEOやSEMでも重要な役割を担います。
ITスキル標準の職種2;セールス
2つ目の職種であるセールス職種では、製品やサービスを顧客に販売する役割を担います。
下記のようなスキルが主に必要となります。
- 課題解決策の提案
- ビジネスプロセスの改善支援
- ソリューション
- 製品・サービスの提案
システムの運用するのはもちろん、データ解析を用いて効率的なセールス戦略を練るスキルが必要となるでしょう。
ITスキル標準の職種3;コンサルタント
3つ目の職種は、必要な提言や助言を行い、IT投資の経営判断の支援を行うコンサルタントです。
企業が抱える問題を解決するための専門的なアドバイスを提供することで、顧客のビジネス戦略やビジョンの実現、課題解決に貢献できます。
効率的な解決策を提案するためにITのスキルは必要不可欠です。
ITスキル標準の職種4;ITアーキテクト
4つ目の職種であるITアーキテクトは、システム全体の設計や構築を担います。高品質なITアーキテクチャを設計し、ハードウェアやソフトウェア関連技術を活用し、顧客のビジネス戦略を実現しています。
下記がAIアーキテクトの主な業務です。
- システムアーキテクチャの設計
- データモデリング
- API設計
ITスキル標準の職種5;プロジェクトマネジメント
5つ目の職種がプロジェクトマネジメントです。プロジェクトの計画から実施、評価までをすべて管轄し、納入物やサービスの品質やコスト、納期を管理します。
リーダーシップスキルが必要となるとともに、リスク管理や品質管理など、多角的なスキルが求められるでしょう。
ITスキル標準の職種6;ITスペシャリスト
顧客の環境に最適なシステム基盤の設計・構築・運用・保守などをおこなっているのが6つ目の職種であるITスペシャリストです。
構築したシステム基盤の性能・回復性・可用性などに責任を持ち業務にあたる必要があります。
また、クラウドセキュリティやIoT(Internet of Things)に関する専門知識が必要となる事例もあります。
ITスキル標準の職種7;アプリケーションスペシャリスト
7つ目の職種であるアプリケーションスペシャリストでは、特定のソフトウェアアプリケーションに関する専門の知識とスキルが必要です。
アプリケーションの設計はもちろん、開発から構築まで行い、実際に活用をしてテストまで実施をします。
構築したアプリケーションの品質に対して責任を担っています。
ITスキル標準の職種8;ソフトウェアデベロップメント
8つ目の職種はソフトウェアデベロップメントです。ソフトウェアデベロップメントは、ソフトウェア製品を開発するスキルが求められます。
プログラミングスキルだけでなく、ユーザーのニーズを理解し、それを製品に反映させるスキルも重要となります。
ITスキル標準の職種9;カスタマーサービス
顧客のシステム基盤管理やサポート、ITインフラの設計・構築・導入・管理・運営を行うのが9つ目の職種であるカスタマーサービスです。カスタマーサービスでは、ハードウェアやソフトウェアに関連する専門技術を活用し業務を行います。
下記がカスタマーサービスの主な業務です。
- 顧客のシステム環境に合致したハードウェア・ソフトウェアの導入
- カスタマイズ
- 保守
- 修理
CRMシステムの操作やデータベースの管理に活用できるITスキルが求められるでしょう。
ITスキル標準の職種10;ITサービスマネジメント
ITサービスの品質を管理し、ビジネス価値を最大化するため、重大な役割といわれているのは10つ目の職種であるITサービスマネジメントです。
ITサービスマネジメントでは、システム運用関連技術を活用し、サービスレベルの設計をおこないます。
下記はITサービスマネジメントの主な業務です。
- サービスカタログの管理
- インシデント管理
- 変更管理
システム運用リスク管理の側面から、システム全体の安定稼動に対して責任を持つ必要があります。
ITスキル標準の職種11;エデュケーション
スキル標準が対象とするプロフェッショナルを育成するための研修サービスを提供しているのがITスキル標準の最後の職種であるエデュケーションです。
エデュケーションでは、研修カリキュラムの設計・開発・運営・評価などを実施するために必要な専門の知識とスキルが求められます。
エデュケーションでは、教育カリキュラムの常時更新と、その効果測定が求められます。それは、教育内容が時代のニーズに応じて柔軟に変わることが理由です。
オンライン教育プラットフォームの運用や、リモート研修の効果的な方法も研究し、教育プログラムの設計や運営、評価をする必要があります。
ITスキルを組織全体で身につける3つのポイント
ITスキル標準が規定する7つのレベルとITスキル標準が規定する11の職種の理解を深めることができました。
下記の3つのポイントは、ITスキルを組織で運用していく3つのポイントです。
- 目的を具体的に決めておくこと
- 社内でプロジェクト化させること
- 継続して運用していくこと
次の見出しで詳しく解説していきましょう。
目的を具体的に決めておくこと
ITスキルを組織が活用していくのであれば、その目的を具体的に決めておくことが重要となります。
記事の冒頭でも紹介した通り、ITスキル標準のレベル指標はあくまでも「ものさし」に過ぎません。
そのため明確な目的を設定しておかなければ、ITスキルを高められても、活かす道筋がわからなくなってしまいます。
ITスキルを活用し、社内全体でスキルアップをはかるのであれば、自社のビジネス戦略に沿った目的を明確にすることが重要となるでしょう。
明確を目的にしておくことで、ITスキルをアップさせるモチベーションをキープできます。
社内でプロジェクト化させること
ITスキルを社内で取り入れる際には、社内でプロジェクト化をさせることが重要です。会社のトップのみでプロジェクトを進めていくこともあるかもしれません。
しかし、ITスキルをうまく活用していくのであれば、人事や総務・経営企画などはもちろん、実際に教育や研修を行うことになる現場の開発に関わるすべての人が当事者になる必要があります。
なぜなら、実際にITのスキルアップをしていく必要があるのは、現場で動く人間だからです。
トップだけが動くのではなく、社員全員がITスキルアップの意識を持つことでより効果を得やすくなります。
継続して運用していくこと
ITスキルを組織でうまく活用していくためには、導入して完結するのではなく、継続することが重要となります。
継続して活用していくためには、まず個人スキルの定期的な把握をする必要があります。個人スキルを把握した後、その内容に基づく人材マネジメントに活かせます。
そのためには、フローチャートを作成するなど継続的に活用できる土台をつくる必要があるでしょう。
ITスキル標準(ITSS)と情報処理技術者試験の資格一覧
情報処理技術者試験は、ITスキル標準(ITSS)に対応した試験です。レベルに応じて試験内容が異なります。
下記4つのレベルに分けて試験が用意されています。
- ITSSレベル1;ITパスポート
- ITSSレベル2;基本情報技術者試験(EF)
- ITSSレベル3;応用情報技術者試験(AP)
- ITSSレベル4;その他の高度試験
IT業界で市場価値の高い人材を目指すのであれば、取得しておきたい基本的な資格でしょう。
レベルごとに、どういった試験の内容になっているのか解説しています。興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
ITSSレベル1;ITパスポート
ITパスポートは、社会人として必要なITの基礎的能力を身に付けることが可能とされています。
情報処理技術者試験の資格の中で初心者向けなのがITパスポートの資格です。
どの職種にも活かせる知識を習得できるため、エンジニア職として活躍する予定がない方にもおすすめの資格です。
ITパスポートの資格を取得しておけば、基本的なIT知識を有していることを証明できます。
ITSSレベル2;基本情報技術者試験(EF)
ネットワークやデータベースの知識を身につけられるのが、基本情報技術者試験(EF)です。
高度IT人材に必要な基本的知識や技能、それを活用するスキルを習得できている方は、基本情報技術者試験(EF)に挑戦してみましょう。
基本情報技術者試験(EF)は、エンジニア職として活躍するのであれば、必要不可欠な資格ともいわれています。
ITSSレベル3;応用情報技術者試験(AP)
応用情報技術者試験(AP)は、IT技術に加え、マネジメント能力や戦略立案など、幅広い分野の知識と応用スキルが重要となる資格です。
基本情報技術者試験の上位試験とされているのが、応用情報技術者試験(AP)です。応用情報技術者試験(AP)は、ITエンジニアとして経験を積んだ人のみが対象となっているため、誰でも気軽に受験できる資格ではありません。
この資格を取得できれば、プロジェクト管理の知識も身につけられるため、プロダクトマネージャーを目指す方におすすめです。
ITSSレベル4;その他の高度試験
これまでに紹介した3つの資格に比べ、各段にレベルが高くなる資格です。
下記に挙げた資格は、専門性がかなり高く、目的を明確にしてから受験をする必要があります。
- ITストラテジスト試験
- システムアーキテクト試験
- プロジェクトマネージャ試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- データベーススペシャリスト試験
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験
- ITサービスマネージャ試験
- システム監査技術者試験
経験を積んだだけでは、取得が難しい資格も多くあります。受験に挑戦する際には、何度も過去問に挑戦したり、オンライン学習を受講したりなどしっかりと知識をつける必要があ流でしょう。
ITスキル標準(ITSS)についてよくある質問
最後のITスキル標準についてよくある質問をまとめてみました。気になる方はぜひ参考にしてみてください。
ITSSのスキルマップを見るポイントはありますか?
ITSSスキルマップのレベルを参考にする際には、該当する職種や専門分野が提供する価値の大きさや、組織内での責任レベルに普及しているわけではないことを理解する必要があります。
ITSSスキルマップは、あくまでも価値創出に必要なスキルレベルの話だからです。
また、従業員が自身のスキルを向上させる場合には、次のレベルに進むための目標やパスが明確であることが必要だと考えられます。
ITスキル標準レベル4とは何ですか?
ITスキル標準レベル4は、よりハイレベルな、高度IT人材に該当するレベルといわれています。
ITプロフェッショナルとしての専門分野を確立した状態であり、経験の知識化や後進の育成をする際貢献できるプレーヤーとして認められます。
プログラムの基本的な言語を理解することはもちろん、データを参考に分析をするスキルも必要となります。
ITスキル標準(ITSS)に関する情報まとめ
IT業界の人材不足を解消するため、スキルの習得レベルを把握するための「ものさし」として策定されたのがITスキル標準(ITSS)です。
ITスキル標準が策定されたことにより、自分のスキルを明確に把握できるようになりました。
しかし、スキルを向上させたところで、身につけたスキルを活かす力がなければうまく活用できないのも当然です。
ITスキルを効率よくアップさせ、活かすためには「MENTER」がおすすめです。MENTERは5分から10分程度の動画を見るだけでITスキルを身につけられます。
日中はお仕事をしていて、なかなか学習時間がとれない方でも、隙間時間を利用してITスキルをアップさせられると同時に、ITリテラシーも高められるのが魅力のポイントです。
お問い合わせは無料で受け付けていますので、「MENTER」について詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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