マーケティングに活用できる分析手法のひとつ、ファネル分析についてご紹介します。
ファネル分析とは
ファネルとは、ゴールに至るまでの一連の遷移によって顧客が絞り込まれていく様子を漏斗(funnel:ファネル)に例えて表現したものです。 事業を単純な「売上規模」で見るのではなく、ファネル上どのような構造となっているのかを把握することで、より詳細に全体像を捉えることができます。
ファネル分析の特徴
ファネル分析では、集計する項目の階層レベルを下げていくことで、問題の特定や絞り込みがしやすい反面、選択する項目を誤ると意味のない分析結果になってしまうこともあります。まずはしっかりと仮説を立てた上でファネルを決定することが重要です。
また、ファネル分析ではどこから改善していくべきか優先順位を決めることも重要です。 一見、規模の大きい(訪問数や離脱数が多い)ファネルから着手してしまいそうですが、離脱率が高いファネルから改善していくことで、より高い効果を得られる可能性が高くなります。
その理由として、まず離脱率が高いほど課題が明確である場合が多く、反対に離脱率が低い場合、離脱の要因を把握するのは容易ではありません。極端な例として、商品詳細ページの離脱率が95%だった場合、在庫の不足やシステム的な問題などが離脱率を大幅に高めている原因として浮かびますが、同じページの離脱率が5%だった場合、20人に1人しか離脱しておらず、「気が変わった」「間違えてブラウザを閉じてしまった」「サイズを確認するために訪問しただけ」など様々な原因が考えられ、対策を打つのは困難です。
また改善の効果にも大きな違いがあります。例えば先ほどの離脱率95%のページについて、離脱率を90%にすることは比較的容易な印象を受けますが、これだけでも「離脱しなかった訪問者」の割合は5%(100% – 95%)から10%(100% – 90%)と2倍に増えるため、結果として注文確定の件数も2倍に増えることになります。一方で離脱率5%のページについて、様々な対策により離脱率0%を実現したとしても、「離脱しなかった訪問者」の割合は95%(100% – 5%)から100%(100% – 10%)と約1.05倍にしか増えません。
これらの理由から、ファネル分析では規模の大きさよりも離脱率の高さに着目して改善の優先度を決めることで、より高い効果を得られる可能性が高くなります。
ECサイトのファネル分析例
上記はECサイトのファネル分析例です。最も規模が大きい(離脱数が多い)のは「商品一覧閲覧」と「商品詳細閲覧」の30,000ですが、それよりも離脱率の高い「カート投入」「ログイン」を改善する方が売上の増加に繋がる可能性が高いと考えられます。
POINT
ファネルで分解することでゴールへの道筋を鮮明に捉えることができます。改善は離脱率が大きいファネルから着手しましょう。
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