「中小企業でもDX化は必要ですか?」
「DXを推進したいが、どのようなことができるかわからない」
「中小企業のDX事例を知りたい」
中小企業でDXに関するこのような悩みや課題を抱えている人もいるのではないでしょうか。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が行ったアンケート調査報告書「中小企業のDX推進に関する調査(2023年)」によれば、DXにすでに取り組んでいる中小企業の割合はたったの14.6%です。
2022年の7.9%と比較すると増加しているものの、取り組んでいない中小企業の割合は75%以上も存在します。
このように、DX推進に取り組む中小企業は少なく、どのように進めていけばいいか分からないと悩む企業も多いです。
IT技術の進歩や人材不足とともに、大企業でも中小企業でもDX推進は不可欠なものです。
そこで今回は、中小企業のDX推進の成功事例14選をご紹介します。課題や進め方、成功のポイントもあわせて解説します。中小企業でDX導入に迷っている場合やDXを成功させるコツを知りたい場合は、ぜひ最後まで読んで自社のDX導入に役立ててください。
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実際に日本企業ではどのようなアプローチでDXが導入されているのでしょうか。社会ではどのようなDXが求められているかや今後どのような分野でDXを推進する必要があるのかがわかります。
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中小企業のDX成功事例14選
ここからは、中小企業で実際にDXを導入して成功した事例を14社に絞って解説します。代表的な中小企業でのDX成功事例は以下のとおりです。
- 株式会社木村鋳造所【製造業】
- 株式会社日東電機製作所【製造業】
- 株式会社木幡計器製作所【製造業】
- 日進工業株式会社【製造業】
- 株式会社ヒサノ【製造業】
- 株式会社NISSYO【製造業】
- 武州工業株式会社【製造業】
- トラスコ中山株式会社【卸売業】
- アイビック食品株式会社【食品メーカー】
- 株式会社トーシンパートナーズホールディングス【不動産業】
- 株式会社ASAHI Accounting Robot研究所【情報通信業】
- 鹿児島銀行【金融業】
- 栃木銀行【金融業】
- 株式会社ふくおかフィナンシャルグループ【金融業】
具体的な事例内容を詳しくみていきましょう。
株式会社木村鋳造所【製造業】
株式会社木村鋳造所は、静岡県駿東郡清水町にある鋳物の製造・加工・販売を行う鋳造メーカーです。
従来では作成に数ヵ月も要していた木型制作から、新鋳造製造技術による生産工程では砂を使用した砂型成形に変更しました。木型レスの砂型成形では、砂を使用した鋳型を3Dプリンタで出力し、そこに金属を流し込む方法です。
これによって、緻密な鋳物構造の再現や短納期での大量生産などさまざまなメリットがあります。
株式会社日東電機製作所【製造業】
株式会社日東電機製作所は、電力の発生・輸送・消費などのあらゆる分野で電力周辺装置を生産している企業です。
株式会社日東電機製作所では、以下のようなデジタル化を実現しています。
- 電力装置の原価・工程・在庫などの可視化と共有化
- 3D-CADと電気回路CADを融合した3D配線の測長
- データと加工機のオンライン接続による板 金加工の半自動化
2016年より「チームIoT」を組織し推進体制を立ち上げて以降、毎月メンバーが職場巡回し、悩みや要望をデジタルで解決する活動を継続的に行っています。
株式会社木幡計器製作所【製造業】
株式会社木幡計器製作所は、圧力計などの計測・制御機器などを製造・販売する企業です。
老舗メーカーであるものの、長期的に競合他社との差別化ができなかった結果、以下のような課題がありました。
- 受注が下降している
- 現場で計測器を確認する人材が不足している
そこで、計測器にIoT(モノのインターネット化)技術を導入し、搭載された無線デバイスによって計測結果をクラウド上に送信できます。
この結果、作業工数の削減などの業務効率化を実現しただけでなく、医療機器事業へのIoT化にも成功しています。
日進工業株式会社【製造業】
日進工業株式会社は、自動車用の精密樹脂部品を製造している企業です。
海外ベンダーと交流していくなかで日本のものづくりに危機感を感じた日進工業株式会社は、DX化を推進して「MCM System」を開発しました。
「MCM System」にはIoT技術が導入されており、モニターで担当者の稼働率や短時間の停止状況などをリアルタイムで把握可能です。
製造ラインの稼働状況を可視化できるようになったことで、業務効率化や生産性の低いラインの洗い出しに成功しました。
株式会社ヒサノ【製造業】
株式会社ヒサノは、半導体製造装置を中心に医療機器や金融システム機器などの精密機械からピアノやコピー機などさまざまなものを輸送する事業を展開している会社です。
業務内容をデジタル化してデータを蓄積・分析することによって、以下のことを実現しています。
- 協力会社との連携
- 社内業務プロセスの改善
- ドライバーの能力の向上
- 社員の働き方改革の実現
社内体制やマーケティングの改善、DXによる物流の業務効率化に取り組むことで、ビジネスモデルの変革に成功しました。
株式会社NISSYO【製造業】
株式会社NISSYOは、変圧器を中心に、産業⽤トランス・リアクトル・制御盤の設計・製造を行う会社です。
2022年にDX認定を受けてから、データドリブン経営・生産性向上・デジタル人材育成に努めた結果、以下の3つを実現してきました。
- IoT導入
- ペーパーレス化
- 全従業員へのタブレット端末の配布
1人1台iPadを配布して積極的に利用されることや、自社ポータルサイトへデータを集約してペーパーレス化を推進することで、業務効率化やコスト削減につながりました。
実際、伝票や文書を電子化するEDI利用率が87%になり、年間で60万枚もペーパーレス化できたほどです。
武州工業株式会社【製造業】
武州工業株式会社は、パイプや板金の加工・製造を中心に、医療・航空宇宙産業向け製品を広く提供する企業です。
すでに構築・運用していた生産管理システムをアップデートして、出退勤や在庫管理、品質管理などをリアルタイムで把握できる仕組みを開発しました。
スマートデバイスと生産管理システムを活用した経営と現場の可視化を実現しました。
トラスコ中山株式会社【卸売業】
トラスコ中山株式会社は機械工具や工事用消耗品を仕入先様から仕入れ、工場やネット通販企業、ホームセンターなどへ卸売りをする専門商社です。
課題点として商品の在庫過多や納期のズレなどに悩んでいました。
そこで必要なタイミングで必要な量だけ仕入れができるサービス「MROストッカー」を導入した結果、顧客の需要を事前にシミュレーション・分析でき、以下のメリットを実現できました。
- 在庫管理コストの削減
- 納期の待ち時間なしで即納可能
- 無駄な仕入れの減少
これらはまさにデジタル技術の活用やDX推進の賜物でしょう。
アイビック食品株式会社【食品メーカー】
アイビック食品株式会社は、たれ・だし・スープの製造販売を行う食品製造メーカーです。
食に関わるすべての人・企業・地域のHUBとなる施設を目指し、北海道・食・DXをテーマにした北海道の食のDX拠点「GOKAN〜北海道みらいキッチン〜」をオープンしました。
GOKANには、以下のような「食」に特化した最先端施設を完備しています。
- 試食会や料理教室に活用できるセントラルキッチン
- 動画配信やライブ配信に対応できるオープンキッチン
- 商品や料理のスチール撮影ができるスタジオ
その他にも、デジタルサイネージやVR/ARなどのデジタル設備を所有し、コロナ禍で打撃を受けた飲食事業者などを支援するために食の情報発信や商品開発を行っています。
このように、アイビック食品株式会社では製造工程だけでなく、販売方法やプロモーション方法でもDXを推進している点が大きな特徴です。
株式会社トーシンパートナーズホールディングス【不動産業】
株式会社トーシンパートナーズホールディングスは、マンションの企画・開発・販売や 不動産売買・仲介、賃貸など多角的に不動産事業を展開する会社です。
継続的に成長できる企業を目指すために、DX化によるデジタル技術とデータの活用が急務であると考え、本格的にDXの推進に乗り出しました。
具体的に行った施策は、以下のとおりです。
- 業務プロセスの見直し
- データ分析による意思決定高度化
- IT投資見直し
- ゼロトラストセキュリティ
- ITリテラシーの向上
これらの施策を行った結果、kintoneなどのノーコードツールやRPAなどのITツールを活用した業務効率化により、年間約8,800時間の工数削減を達成しました。
株式会社ASAHI Accounting Robot研究所【情報通信業】
株式会社ASAHI Accounting Robot研究所は、DXの推進やAIの活用を支援する事業を展開している会社です。
RPAが、事務部門での人材不足対策と労働生産性の大幅な向上につながるとあさひ会計グループ内で体感・体験・確信したことで、本格的にDX推進や事業化に乗り出しました。
株式会社ASAHI Accounting Robot研究所が掲げている主な施策は、以下のとおりです。
- 人間はデジタル技術には対応できない仕事へのシフトを支援する
- 全国の中小企業で働く社員にリスキリングの支援をする
- 自社のDXノウハウを積極的に情報発信する
このような施策を行った結果として自社では197のRPAロボットが業務を担っており、他社では26の都道府県で124社でRPAの勉強会を行ってサポートしています。
鹿児島銀行【金融業】
鹿児島県鹿児島市に本店を置く地方銀行の鹿児島銀行は、キャッシュレス決済の利用で地域復興を目指しており、完全キャッシュレス商業施設「よかど鹿児島」をオープンしました。
キャッシュレス決済が依然として普及していない地方都市でデジタル化に焦点を当てた商業施設の登場は大きな注目を集めています。
また、完全キャッシュレス商業施設「よかど鹿児島」のオープンにあわせて、独自のキャッシュレス決済アプリ「Payどん」を開発しました。
このアプリ開発で高齢者層がキャッシュレスの利便性を実感し、商業施設内での「Payどん」の利用率は25%もあります。
このように、鹿児島銀行はキャッシュレス決済の導入でDX化に成功した事例です。
栃木銀行【金融業】
栃木銀行は、栃木県宇都宮市に本店を置き、栃木県と埼玉県を主な営業基盤としている第二地方銀行です。
従来型の企業文化を変革する目的で、帳票などの紙ベースでの業務を原則廃止し、業務のペーパーレス化を実施しました。
具体的に行った施策は以下のとおりです。
- パソコン・スマートフォン・タブレットで照会・確認・検証業務を行う
- CRMシステムにリアルタイムでアクセスさせる
このような徹底した業務のペーパーレス化によって、紙使用量140万枚/年の削減や事務作業時間2万1,000時間/年の削減につながりました。
このように、栃木銀行は業務のデジタル化ツールやタブレットの導入によってDX化推進を実現した成功例です。
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ【金融業】
株式会社ふくおかフィナンシャルグループは、九州地方を地盤とする4つの地方銀行(福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行)を中心に、証券会社やカード会社などを幅広く展開しているグループ企業です。
株式会社ふくおかフィナンシャルグループは、国内初のフルクラウドのデジタルバンク「みんなの銀行」を開発しました。
口座開設から振り込みなどすべてのサービスをスマートフォン上で完結する次世代型の銀行サービスを提供しています。
また、デジタルネイティブ世代をターゲットにしており、SNSを積極的に活用してプロモーションをするマーケティングにも注力しています。
中小企業にとってDX推進が必要な4つの理由
経済産業省が公表した「DXレポート」によると、日本企業が積極的にDX推進を行わなかった場合、2025年以降に年間で最大12兆円もの経済損失が生じる恐れがあるとされています。
そのため、大企業だけでなく、中小企業も含めた日本企業全体がDXの推進が急務となっています。とはいえ、特に中小企業ではリソース面やコスト面でDXの推進が簡単ではありません。
しかし、中小企業にこそDXの推進が必要です。その主な理由は以下のとおりです。
- 生産性向上や業務効率化が期待できるため
- 節税につながるため
- 市場優位性を高めるため
- 費用負担を軽減する低価格帯のDXツールが出現したため
それぞれの理由を具体的にみていきましょう。
生産性向上や業務効率化が期待できるため
中小企業にDX推進が必要とされる1つ目の理由は、生産性向上や業務効率化が期待できるためです。
中小企業では人材不足が長期的な課題となっています。それは労働人口の減少が原因ですが、年々減少している生産年齢人口が拍車をかけており、今後も深刻化することが予想されます。
会社の成長や業績向上を目指すためにも、システムやツールなどのデジタル技術を活用して、中長期的な観点で生産性向上や業務効率化を図ることが重要です。
節税につながるため
中小企業にDX推進が必要とされる2つ目の理由は、節税につながるためです。
経済産業省は「DX投資促進税制」を創設したことによって、コスト面がボトルネックになっていた中小企業でもDX推進に取り組みやすくなりました。
DX投資促進税制が、DXの実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対し、税額控除(最大5%)または特別償却30%を措置してくれる制度だからです。
この政府の後押しによって、これまでDX化に向けてシステムやツールなどのコストがかかっていたのに対して、節税制度の活用でコスト面での負担が軽減されます。
市場優位性を高めるため
中小企業にDX推進が必要とされる3つ目の理由は、市場優位性を高めるためです。
デジタル技術を活用すれば、中小企業でも新商品・新サービスの開発や新しい顧客体験の創造など、事業の拡大や市場優位性の向上を実現できます。
たとえば、ECサイトを利用することで、従来ではアプローチできなかった顧客に対して販売できます。
このように、新しい商品・サービスの創出することや同業他社と差別化を図ることで、市場優位性を高められるでしょう。
費用負担を軽減する低価格帯のDXツールが出現したため
中小企業にDX推進が必要とされる4つ目の理由は、費用負担を軽減する低価格帯のDXツールが出現したためです。
近年、低コストで利用できるDXツールが増加してきています。
そのため、これまでコスト面で導入できなかった中小企業でも大きな負担にはならずに利用できるでしょう。
それでもコストをかけたくない場合は企業の一部から小さく始めてみることがおすすめです。効果を実感できれば、徐々に会社全体で推進すればいいでしょう。
中小企業でDX推進するうえでの5つの課題
DX化を推進する必要があるものの、なぜ実際に中小企業でDX化が進んでいないのでしょうか。
それは多くの中小企業がさまざまな課題を抱えているからです。ここでは、中小企業でDX化を推進するうえで直面している課題を解説します。
中小企業が抱えている主な課題は以下のとおりです。
- DX人材が不足している
- DX化を推進しにくい組織体系になっている
- 既存システムではITスキルを活用する場がない
- DX人材の採用やツールの導入に多くの予算が確保できない
- 価値観がアップデートできていない
それぞれ詳しくみていきましょう。
DX人材が不足している
中小企業でDX化を推進するうえで直面する1つ目の課題は、DX人材が不足していることです。
DX人材やIT人材が不足している理由は、深刻化している少子高齢化の進展や労働人口減少です。
少子高齢化がますます進む一方で、DX推進に不可欠なDXの知見がある人材を確保できないことはさらに深刻な課題となっています。
とりわけ、中小企業ではコスト面やリソース面などでさまざまな課題を抱えており、DX人材の確保や社内での育成を簡単にはできません。
このように、需要が拡大しているものの、少子化や生産年齢人口の減少にともなってDX人材が不足していることが大きな課題点となっています。
DX化を推進しにくい組織体系になっている
中小企業でDX化を推進するうえで直面する2つ目の課題は、DX化を推進しにくい組織体系になっていることです。
それは、経営陣など意思決定者たちがDXの目的や重要性を理解していないケースがあるからです。
そもそも経営陣がDX推進の必要性を認識しておらず、導入に対して消極的であると、DX推進は困難になります。
DXの成功には明確な目的やビジョンをもち、社内の組織体系を抜本的に変えるリーダーの存在が必要でしょう。
既存システムではITスキルを活用する場がない
中小企業でDX化を推進するうえで直面する3つ目の課題は、既存システムではITスキルを活用する場がないことです。
既存システムのままでクラウドサービスなど新しいシステムサービスへ移行しなければ、既存システムを扱える人材がいなくなってしまい、最終的にはブラックボックス化してしまいます。
既存システムのブラックボックス化が進行すると、老朽化や複雑化につながり、ITスキルがあってもそれを活用する場がありません。
最悪の場合、不正の発生やシステムトラブルなどの際に復旧までに時間がかかってしまうなどのさまざまなリスクが考えられます。
そのため、既存システムから脱却し、新しいシステムでITスキルを活用しましょう。
DX人材の採用やツールの導入に多くの予算が確保できない
中小企業でDX化を推進するうえで直面する4つ目の課題は、DX人材の採用やツールの導入に多くの予算が確保できないことです。
DX推進には以下のようにさまざまなコストがかかります。
- DX人材の獲得や育成
- システムの開発
- ツールの導入
DX推進には莫大なコストがかかってしまいますが、中小企業には多額のコストをかける余裕がないことが大きな課題点です。
価値観がアップデートできていない
中小企業でDX化を推進するうえで直面する5つ目の課題は、価値観がアップデートできていないことです。
中小企業のなかには、そもそもDX化やデジタル化を敬遠する企業も存在します。繰り返しにはなりますが、経営陣をはじめとする従業員がDX化の目的や必要性を理解していないことが大きな要因となっていることが考えられます。
DX化によって市場での競争優位性や業務効率化を実現するためにも、社内全体で価値観をアップデートしましょう。
中小企業のDX推進の進め方【5ステップ】
DX推進には興味・関心があるものの、何から始めればいいかわからないような人も少なくないでしょう。
そのような疑問や悩みを解決するために、中小企業のDX推進の取り組み方をご紹介します。
中小企業のDX推進の進め方は、以下のとおりです。
- DX推進のビジョンを立てる
- 自社の課題を把握する
- 優先順位をつけて業務をデジタル化する
- 社内のバックアップ体制を整備する
- 定期的に業務のDX化を見直す
それぞれ順番にみていきましょう。
ステップ1.DX推進のビジョンを立てる
まず、DX推進のビジョンを立てます。
DXを推進するためには、経営陣だけでなく、従業員を含めた社内全体で同じ方向に向かって協力していかなければいけません。
そのためにもまずは経営陣を中心にDX推進のビジョンを明確にして、社内で共有することが必要です。
ステップ2.自社の課題を把握する
DX推進のビジョンを立てたら、自社の課題を把握します。
DX化を進めるためには、現状課題を分析・把握しなければ、対策ができません。
そのため、自社内あるいは自部署内での解決すべき課題を洗い出して分析することが必要です。
具体的には、以下のような課題が挙げられます。
- 紙の資料のファイル管理によって探索に長時間かかる
- 老朽化システムの継続的な使用によって作業効率が低下する
- 勤怠管理や給与計算によってヒューマンエラーが発生する
上記のような課題を抽出して、DX化で解決できないかを考えましょう。
ステップ3.優先順位をつけて業務をデジタル化する
自社の課題を把握したら、そのなかから優先順位をつけて業務をデジタル化します。
大きく抜本的に変える必要がある業務は優先順位を低くして、デジタル化した直後に問題がないような業務の優先順位を高くしてDX化を進めていきます。
たとえば、優先順位を高くしても直後に業務上支障がないと考えられるものは、以下のとおりです。
- 勤怠管理ツールを導入してクラウド化する
- 取引先との電話やFAXでのやり取りを電子化する
- 契約書への押印や提出を電子化する
- 経費申請書類を使わずにクラウド化して申請する
このように、社内で大きなインパクトがないような業務からデジタル化へ移行していきましょう。
ステップ4.社内のバックアップ体制を整備する
実際に業務をデジタル化していくと、社内のバックアップ体制を整備します。
優先順位を考えてDX化を進めても、ひとつの業務をデジタル化するだけで、業務の流れが大きく変わってしまうことが難点です。
変更を余儀なくされた社員や担当部署はツールの使用方法や変更にともなうフローを新しく覚える必要があり、負担が大きくなることが予測できます。さらに、そのような変更に不満を抱く社員や部署もなかにはいるでしょう。
そのような状態にならないように、経営陣がリーダーシップを発揮して、社内のバックアップ体制を整備しながらDXを推進していくことが求められます。
ステップ5.定期的に業務のDX化を見直す
定期的に業務のDX化を見直すことも重要です。
実際にDX化を進めても、終わりではありません。定期的に自社の課題や問題を洗い出し、それがデジタル化できる業務ではないかチェックする必要があります。
定期的な見直しをしなければ、長期的にはブラックボックス化やレガシーシステムと化してしまうでしょう。
中小企業がDXを成功させる4つのポイントとコツ
DX化を推進するためには、ポイントやコツを押さえたうえで導入することが重要です。
中小企業がDX化を成功させるポイントとコツは、以下のとおりです。
- 改善点を明確にする
- 経営層が積極的に進める
- DX専任の担当者をつける
- 補助金を活用する
それぞれのポイントをみていきましょう。
改善点を明確にする
中小企業がDX化を成功させる1つ目のポイントとコツは、改善点を明確にすることです。
DXの推進には、現状の課題を明確化することが重要なポイントです。というのも、課題を明確にしない限り、課題がどれくらいあるのかやどれから優先的に取り組めばいいのかもわからないまま進めていくことになるでしょう。
解決すべき課題が明確になることで、解決方法や最終的目標の設定、導入ツールの選定なども明確化できます。
経営層が積極的に進める
中小企業がDX化を成功させる2つ目のポイントとコツは、経営層が積極的に進めることです。
DX化には、大きな業務内容や組織体制の変更がともなう可能性があるためです。業務フローの変更やツールの導入には社員からの不満も考えられます。
そのような状況に陥らないためにも、経営層が積極的に進めることが必要です。
経営層の積極的関与で強いリーダーシップや覚悟などを示すことによって、会社全体的に同じ方向を向いて進んでいくことができるでしょう。
DX専任の担当者をつける
中小企業がDX化を成功させる3つ目のポイントとコツは、DX専任の担当者をつけることです。
DXを推進するためには、以下の2つの方法があります。
- 専任の担当者を確保する
- 社内の人材に兼任してもらう
もちろん、ITやDXに関して知見のある人材を確保できることが理想的です。しかし、多くの中小企業は業務変更や人材確保などあらゆることにコストをかけられるほどの余裕はありません。
そこで、ITやDXに関して豊富な知識がなくても、社内の現状を理解している人材であればDXの担当者としてふさわしいため、兼任してもらうことも選択肢のひとつです。
ただし、DX業務と既存業務を兼任する場合には負担が大きくなってしまうため、既存業務を他の人材に割り振るなどのリソースの調整が必要になるでしょう。
補助金を活用する
中小企業がDX化を成功させる4つ目のポイントとコツは、補助金を活用することです。
先述のとおり、DX実現に向けて投資する際には「DX投資促進税制」の活用で節税ができます。
その他にも、以下のような補助金制度があります。
導入するシステムやツールによって金額は異なりますが、補助金の活用によってDX推進のハードルを低くできるでしょう。
中小企業でも重要なDXを事例から学んで取り入れましょう!
中小企業は、人材やコストが不足していることから、DX化を積極的に推進する企業は少ないとされています。
しかし、企業の規模に関係なく、DXの推進が急務となっています。
そのため、特に中小企業ではできるだけコストを抑えて中長期的にDX化を推進する必要があります。
DX化に成功すれば、業務効率化の向上や競争優位性の確立が期待できるでしょう。
デジタルに強い人材育成を行っている「MENTER」では、業界別50社のDX事例をまとめた資料を無料配布しています。
実際に日本企業ではどのようなアプローチでDXが導入されているのでしょうか。社会ではどのようなDXが求められているかや今後どのような分野でDXを推進する必要があるのかがわかります。
資料請求すれば誰でも受け取れるため、ぜひこの機会にご活用ください。
また、デジタルに強い人材育成を行っている「MENTER」では、ショートカットキーなど初心者向けのコンテンツからAIの設計など上級者向けのコンテンツまで用意されています。
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