【法務担当者必見!】顧客情報や取引内容に基づいてChatGPTで契約書ドラフトを作成する方法

【法務担当者必見!】顧客情報や取引内容に基づいてChatGPTで契約書ドラフトを作成する方法
ITリテラシー

1.概要

このマニュアルは、ChatGPTの高度な文章生成能力とファイル読解機能を活用し、取引内容をまとめた簡単なメモから、法的な要件を満たした契約書のドラフト(下書き)を自動で生成する手順を、誰でも実践できるように解説するものです。法務の専門知識がない方でも、対話形式で抜け漏れの少ない契約書ドラフトを作成できます。

2.導入メリット

本手法を導入することで、以下の効果が期待できます。

  • 作成時間の大幅な削減: 従来1〜2時間かかっていたゼロからのドラフト作成が、約15〜20分で完了し、最大85%の時間削減が見込めます。
  • 品質の安定化とリスク低減: 標準的な契約条項の抜け漏れをAIが自動でチェックするため、人的ミスが減り、契約リスクを約70%低減させることが期待できます。
  • コスト削減: 弁護士や司法書士にドラフト作成を依頼する場合の費用(1件あたり数万円〜)を削減できます。まずは社内で質の高いドラフトを作成することで、専門家への相談もより効率的に行えます。
  • 属人化の防止: 担当者の経験や知識に依存せず、誰でも一定水準以上の契約書ドラフトを作成できる体制を構築できます。

3.注意点

  • AI生成物はあくまで「ドラフト」: AIが生成した内容は、必ず法務担当者や顧問弁護士など専門家による最終レビューを受けてください。これは法的な拘束力を持つ正式な契約書ではありません。
  • 機密情報の取り扱い: 契約には機密情報が含まれます。顧客名や具体的な金額など、機密性の高い情報は匿名化(例:「A社」「月額〇〇円」)するか、ChatGPTの「チャット履歴とトレーニング」をオフに設定してから使用してください。
  • ファクトチェックの徹底: AIは誤った情報(ハルシネーション)を生成することがあります。特に、当事者名、日付、金額、管轄裁判所などの固有名詞や数値は、必ず元の情報と照合してください。
  • 法令の最新性: AIの知識は最新の法改正を反映していない可能性があります。特に業界特有の規制や新しい法律が関わる場合は、専門家による確認が不可欠です。

4.必要な環境(ソフトウェア)

  • ChatGPT:
    Word(.docx)やPDF、テキスト(.txt)ファイルのアップロード機能を利用します。
  • 取引内容をまとめたメモ:
    契約の主要な条件(当事者、目的、期間、金額など)を箇条書きにしたもの。テキストファイルやWord形式で準備します。
  • (推奨)自社の契約書ひな形:
    過去に使用した契約書や、会社の標準テンプレートがあれば、AIに読み込ませることで、より自社のスタイルに合ったドラフトを生成できます。(Word, PDF形式)
    ※ただし自社の雛形をUPする場合、具体的な社名や住所その他を生成AIにUPして良いことが合意取れている環境に限る。そうでない場合は具体名をマスクしたファイルを用いてください

5.具体的な作業手順

Step 1. 契約情報の準備

まず、契約書に盛り込みたい情報をテキストファイル(例:keiyaku_memo.txt)に整理します。情報が具体的であるほど、生成されるドラフトの精度が向上します。

【サンプルデータ:IT企業の業務委託契約メモ】

  • 契約の種類: 業務委託契約書
  • 委託者(甲): 株式会社サンプルテック
  • 受託者(乙): 株式会社クリエイトソリューション
  • 契約の目的: 甲が運営するECサイトの保守・運用業務を乙に委託する。
  • 業務内容:
    1. サーバーの死活監視(24時間365日)
    2. 月1回のソフトウェアアップデート作業
    3. 軽微なバグ修正(月5時間まで)
  • 契約期間: 2025年10月1日 から 2026年9月30日までの1年間。期間満了の1ヶ月前までに申し出がなければ、同一条件で1年間自動更新。
  • 委託料: 月額150,000円(税抜)
  • 支払条件: 毎月末締め、翌月末までに甲の指定する銀行口座に振り込む。
  • 成果物の権利: 業務遂行の過程で生じた成果物(レポート、改修コード等)の知的財産権は、委託料の完済をもって乙から甲に移転する。
  • 秘密保持: 両者は、本契約を通じて知り得た相手方の技術上・営業上の情報を第三者に漏洩してはならない。

Step 2. ChatGPTへのアップロードとドラフト生成依頼

  1. 入力欄の左側にあるクリップアイコン(📎)をクリックし、Step1で作成した取引内容のメモファイルをアップロードします。(もしあれば、自社の契約書ひな形も同様にアップロードします)
  2. ファイルがアップロードされたことを確認し、以下のプロンプトを入力して実行します。

【プロンプト例】

あなたは、日本の商慣習に詳しい経験豊富な法務担当者です。
添付した取引内容のメモ(keiyaku_memo.txt)と、弊社の契約書ひな形(hinagata.docx)を元に、「業務委託契約書」のドラフトを作成してください。

【作成の要件】
- 添付のメモの内容をすべて反映させてください。
- 弊社のひな形の書式や文体を参考に、構成を整えてください。
- 一般的な契約書として必要な条項が不足している場合は、適宜補ってください。
- 専門用語には、初めて読む人にも分かるように簡単な注釈を加えてください。

【期待される出力例】

承知いたしました。添付の資料を基に、業務委託契約書のドラフトを作成します。


業務委託契約書

株式会社サンプルテック(以下「甲」という。)と、株式会社クリエイトソリューション(以下「乙」という。)は、甲の運営するECサイトの保守・運用業務(以下「本業務」という。)の委託に関し、以下のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的)甲は乙に対し、本契約に定める条件に従い本業務を委託し、乙はこれを受託する。

第2条(業務内容)乙が甲のために実施する本業務の内容は、以下のとおりとする。

  1. サーバーの死活監視(24時間365日)
  2. 月1回のソフトウェアアップデート作業
  3. 軽微なバグ修正(月5時間まで)

(以下、契約期間、委託料などの条項が続く)

Step 3. 抜け漏れチェックと条項の追加

生成されたドラフトに、一般的な契約書として重要な条項が含まれているかを確認させます。

【プロンプト例】

ありがとうございます。
生成されたドラフトについて、一般的な業務委託契約書として抜け漏れがないか、以下のチェックリストに基づいて確認してください。
不足している条項があれば、その条項名と内容の案を提案してください。

【チェックリスト】
- 損害賠償
- 不可抗力
- 契約解除
- 反社会的勢力の排除
- 管轄裁判所
- 協議事項

【期待される出力例】

ご確認ありがとうございます。ご提示のチェックリストに基づき、ドラフトを確認しました。以下の条項が不足しておりましたので、追加案を提案します。

【追加提案条項】

第〇条(損害賠償)甲および乙は、本契約の履行に関し、相手方の責に帰すべき事由により損害を被った場合、相手方に対し、その損害(直接かつ現実に生じた通常の損害に限る)の賠償を請求することができる。ただし、賠償額の上限は、損害発生時から遡って過去6ヶ月間に甲が乙に支払った委託料の総額とする。

第〇条(契約解除)甲または乙は、相手方に次の各号の一つにでも該当する事由が生じたときは、何らの催告を要することなく、直ちに本契約の全部または一部を解除することができる。

  1. 本契約の条項に違反し、相当の期間を定めて是正を求めたにもかかわらず、是正がなされないとき。
  2. 差押え、仮差押え、仮処分、競売の申立てがあったとき。(以下略)

(以下、他の不足条項の提案が続く)

Step 4. Word形式での出力

最終的なドラフトを、社内レビュー用にWordへコピーしやすい形式で出力させます。

【プロンプト例】

提案された条項をすべて反映させた最終的な契約書ドラフト全文を、Microsoft Wordにコピー&ペーストしやすいように、見出しや箇条書きを整えた形式で出力してください。

6.よくある問題の解決方法

問題原因解決策
生成された条項が自社の実態に合わないAIが一般的なテンプレートに基づいて生成したため。具体的に修正点を指示します。例:「損害賠償の上限額を『委託料の1ヶ月分』に修正してください。」
専門用語が多くて分かりにくい法的安定性のために専門用語が使われることがある。条項ごとに解説を求めます。例:「『反社会的勢力の排除』条項について、なぜこれが必要なのか平易な言葉で解説してください。」
ファイル(ひな形)をうまく読み込んでくれないファイル形式が特殊、または内容が複雑すぎる。ファイルの内容をテキストとしてコピーし、プロンプト内に直接貼り付けて指示を出します。または、ファイルをよりシンプルなPDF形式に変換してからアップロードします。
契約の種類を間違えて解釈されるメモの内容が曖昧で、AIが判断を誤った。プロンプトの冒頭で「これは『秘密保持契約書』です」「『売買契約書』を作成してください」のように、契約の種類を明確に指定します。

7.端的なまとめ

  • 準備が9割: AIに入力する取引内容のメモが正確で詳細であるほど、完成度の高いドラフトが生成されます。
  • AIは優秀なアシスタント: ゼロから作成する手間を省き、条項の抜け漏れを防ぐための強力な支援ツールとして活用しましょう。
  • 最終判断は必ず人間が: AIは法的な責任を負えません。生成されたドラフトは、必ず専門家のレビューを通して、自社のリスクを管理する最終的な契約書に仕上げてください。このプロセスを導入することで、法務関連業務の効率化と品質向上が両立できます。
🖋 記事執筆担当

ビジネス文書実務検定1級、情報処理検定3級の資格を所持。ChatGPTサービス開始当初に触り始め、そこからAIに惹かれる。Bard(現Gemini)、Claudeにも一早く取り組み、その他多くのAIを日々活用している。
AIの知識をもとに、noteにてバイブコーディングを用いたアプリ開発やLLMの活用方法などの、AI情報コンテンツも発信している。

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